米モンタナ州上部ジュラ系モリソン層産出の、新しいディプロドクス類竜脚類恐竜
5.9・04
A new diplodocoid sauropod dinosaur from the Upper Jurassic Morrison
Formation of Montana, USA
JERALD D. HARRIS and PETER DODSON
Acta Palaeontologica Polonica 49 (2):pp.197-210
Suuwassea emiliae gen. et sp. nov. と命名されたディプロドクス類(dipolodocoidea)
の記載です。完模式標本は、前上顎骨、部分的な上顎骨、方形骨、部分的な頭蓋天井
がある脳頭蓋、数個の部分的あるいは完全な前部・中部頚椎、前部胴椎、尾椎、肋骨、
完全な肩甲烏口骨、上腕骨、部分的な脛骨、完全な腓骨、踵骨、部分的な足からなり
ます。
Suuwassea にはディプロドクス類の数々の共有派生形質がありますが、それはディプロ
ドクス科(Apatosaurus+(Diplodocus+Barosaurus))およびディクラエオサウルス科
(Dicraeosaurus+Amargasaurus)両方の形質を含んでいます。予備的な系統分析では、
Suuwassea はレバッキサウルス科より派生しているが、ディプロドクス科およびディク
ラエオサウルス科と三分岐してしまいます。Suuwassea は北米初の良好な保存状態でで
発見された、非-ディプロドクス科であるディプロドクス類の類縁であり、ディプロドク
ス科およびディクラエオサウルス科双方の起源について新しい識見をもたらすものであ
るとしています。
Suuwassea の記載により、新しいクレードが創設されました。"Flagellicaudata"といい
ます。ラテン語のfllagellum(鞭)+cauda(尾)で、鞭状の尾を意味します。Dicraeosaurus
とDiplodocus およびその全ての子孫に対する直近の共通祖先からなるクレードです。ほ
とんどの研究者による、ディクラエオサウルス科+ディプロドクス科に相当します。
属名Suuwassea は、米先住民クロウ族の言葉"suuwassa"。"SOO-oo-WAH-see-uh"
と発音
するそうです。またこの言葉は、初めて春に聞く雷を意味しますが、さらに語幹を分析
すると、"suu"は雷を意味し、"wassa"は古代を意味するそうです。このことから、俗に
"カミナリ竜"と言われる竜脚類に敬意を表したことになるのだそうです。
種小名emiliae は、この標本を発見した発掘資金を提供した、故Emilie deHellebranth
に対する献名です。
産地と層準 米モンタナ州Southern Carbon 郡。不法な発掘を防ぐため、詳しい場所は
論文には出ていません。モリソン層 ?Tithonian
ペンシルバニア大プレスリリース 発見の経緯やその特徴など。骨格図もあります。