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イングランド南部Wealden(白亜紀前期、Barremian)産出のヴェロキラプトル
亜科恐竜(竜盤類、獣脚類)の最初の記録
The first record of velociraptorine dinosaurs (Saurischia, Theropoda)
from the Wealden (Early Cretaceous, Barremian) of southern England
Steven C. Sweetman
Cretaceous Research in press

 英国イングランド南部ワイト島Wessex層(白亜紀前期、Barremian)で産出し
たヴェロキラプトル類の歯を記載した論文です。英国で2番目に記載された、
ドロマエオサウルス科の記録になり、英国のWealden層群の層からこのクレー
ドが記録された最初の例になります。

 記載された歯は全部で5本あります。1972年から2002年に採集されたもので、
いずれも歯根部は痕跡しか残っていないので、抜け落ちた歯であるそうです。
どの歯も頬舌側に圧縮され、近心から遠心に湾曲し、切縁には鋸歯があります
(IWCMS.2002.2の近心側切縁を除く)。

 この歯は、ワイト島産の獣脚類、Eotyrannus lengiNeovenator salerii
などと比較され、さらに他の分類群の歯とも比較され、まず、IWCMS.2002.2 が
ヴェロキラプトル亜科とされます。結局、他の標本もヴェロキラプトル亜科と
されています。さらにイングランド本土産のヴェロキラプトル亜科、Nuthetes
やヨーロッパ産の他の同亜科の歯とも比較されましたが、どれとも同定されま
せんでした。成体の歯ということなので、論文中では、どこか他所で繁殖した
成体が季節的にWessex層の氾濫原にやってきたのでないかと推測しています。