獣脚類頭蓋強度と咬合強度の指標としての、眼窩のサイズ、形状、方向
THE EYES HAVE IT: THE SIZES, SHAPES, AND ORIENTATIONS OF THEROPOD
ORBITS AS INDICATORS OF SKULL STRENGTH AND BITE FORCE
DONALD M. HENDERSON
Journal of Vertebrate Paleontology: Vol. 22, No. 4, pp. 766-778
17種の獣脚類の頭蓋と上顎歯の3Dデジタルデータを使った解析。生力学
的解析から、眼窩のサイズ、方向および楕円率(細長さ)の一連の相関関係
と、咬合に関連する頭蓋と歯の推論された力学的性質を明らかにしています。
頭蓋の前後方向の曲げ強度値は、最長の上顎歯の位置にかけられた想定
された荷重の下で、眼窩の縦位置で計算された。頭蓋外側面領域のパーセ
ンテージとして眼窩領域が表されている状態で、眼窩領域と頭蓋の曲げ強度
間に逆の関係があることが見出された。長軸の傾斜角度が150°± 15°の
範囲にある眼窩は、小さい歯と比較的華奢な頭蓋をもつ群に関連している。
傾斜角度が95°± 10°の眼窩は、比較的強固な頭蓋および、長いかつ/
または強固な歯を持つ群と関連している。華奢な頭蓋をもつ群では、眼窩長
軸は、上顎歯の咬合傾斜角方向に対し、少なくとも45°の角度になっている。
強固な頭蓋をもつ群では、眼窩長軸は、上顎歯の咬合傾斜角方向に対し、
やや平行に近くなっている。結局、眼窩の楕円率は頭蓋強度に明確に関連
する。強固な頭蓋をもつ獣脚類の眼窩口形状は、獲物の捕獲かつ/または
切断に関連する、筋肉により生じる力の強度と、明確に関連している。