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Epidendrosaurus は無効名か?9.27.02
  張福成らがNaturwissenschaften (2002, 89:394-398)で報告
 した、樹上性のコエルロサウルス類 Epidendrosaurus
 パンテオンでは8月27日付けで紹介しあました。しかし、その有
 効性が争われているようです。

 最初に指摘をしたのは、例によってジョージ・オルシェフスキー
 9月4日付けで、スティーブン・ツェルカスらが、その恐竜博物館
 から出版した"Feathered Dinosaurs and the Origin of Flight"
 その中で記載されているScansoriopteryx heilmanni の方が
 出版が早いと指摘しています。両者が少なくとも同属とわかる
 標本なのでしょう。またこの本の出版期日は8月1日で、少なく
 とも20日以上早いというのです。すると、先取権の原則により、
 Scansoriopteryxが有効名になります。

 残念ながら私はツェルカスらの本をまだ入手していないので、
 このことについて、なんとも言えません。ただ、張福成らが研究
 者たちにあてたメールでは、「張らのオンライン論文を読んだ
 ツェルカスが、、彼らが先に出版した本で同属にScansoriopteryx
 と、命名したと手紙で主張をしたためた。Scansoriopteryx は中
 国から盗まれた標本である(密輸されたのでしょう)、ツェルカス
 らが張らに8月26-29日にファックスで送ってきた本のコピーの
 ページが乱れている、だから8月1日に出版できていたわけがな
 い」としています。

 一方、「自分たちの論文はオンラインで8月21日に出版された。
 オンライン出版のみでは先取権原則は適用されないが、後日、
 紙で出版されれば、オンライン出版の日付が有効になる」として
 います。

 ツェルカスらの主張は、当然自分たちに先取権があるという事
 ですが、この問題、長引くかもしれません。アーケオラプトルに
 続き、彼の扱う標本には問題があるのでしょうか。

 なお、DinosaurMLでは、Tracy L. Ford が彼ににその点を質し
 たところ、彼は中国の博物館および政府もしくは行政機関とと
 もに研究し、標本はそこから借りたものだそうです。
 これが本当なら、張らの主張の一部は崩れます。