中国産の特異なオヴィラプトロサウルス類 9.19.02
An unusual oviraptorosaurian dinosaur from China
徐星、程延年(YEN-NIEN CHENG), 汪筱林
& 張鈞翔(CHUN-HSIANG CHANG)
ネイチャー9月19日号掲載 Nature 419, 291- 293(2002)
中国遼寧省北票市上園の義県層最下部から産出した、特異な
オヴィラプトロサウルス類の報告です。一番特異な点は、げっ歯類
の門歯のような歯があることです。
以下、アブストラクトほにゃ訳
オヴィラプトロサウルス類は高度に特殊化した頭蓋がある特異な獣
脚類群である。ここに我々は、中国下部白亜系義県層最下部から、
新しいオビラプトロサウルス類、
Incisivosaurus gauthieri, gen. et sp. nov.を報告する。
(中国名 戈氏切歯竜)
このオヴィラプトロサウルス類は、低い頭蓋および歯のある顎のよう
な、より典型的な獣脚類に近い数々の特徴を表し、ゆえに、オヴィラ
プトロサウルス類と他の獣脚類の形態的ギャップを大いに縮めるもの
である。Incisivosaurusには、げっ歯類の門歯に比較できる1対の前
顎歯と、小さい槍先状で、広い磨耗咬合面のある、頬歯がある。
これらの歯の特徴は、これまで獣脚類では知られず、植物食を示唆
するものである。この新発見から収斂進化の一例がもたらされ、また、
非鳥獣脚類は、これまで疑われてきたよりはるかに生態的に放散し
ていたことが立証される。(以上アブストラクト)
完模式標本 IVPP V13326 殆ど完全な頭蓋(約100mm)と部分的な
頚椎骨
語源 属名は門歯のような前顎歯の存在による;種小名は、
その獣脚類分類学への寄与によりJ. Gauthierに敬意を表した。
産地と層準 陸家屯(Lujiatun)、上園、北票市、遼寧省、中国;
義県層最下部、1億2千8百万年以前
その特徴として、以下のようなことが述べられています。(訳語がよ
くわからなくてあてずっぽうのものもあります)
高度に異歯性の上側歯列(大きい門歯状の第一前顎歯、はるかに
小さい亜円錐状の第二から第四前顎歯、および非常に小さい槍の
穂先状の上顎歯);歯の近心辺縁の広い高度に傾斜した摩耗咬合
面;底蝶形骨の腹側面にある縦方向の稜;翼状骨の副腹側縁間の
接触;副外翼状骨窓の存在;非常に短い上顎突起のある三叉状口
蓋。
系統分析ではIncisivosaurus は最も基幹的なオヴィラプトロサウル
ス類とされています。オヴィラプトロサウルス類と鳥類の関係につい
て、その近縁がかねてから指摘され、中には二次的に飛ばなくなっ
た鳥類であるとする研究もあります。本研究では、Incisivosaurus に
鳥類と共有する特徴を欠くことから、鳥類と似た特徴は独立して収斂
進化したものとしています。さらに、マニラプトル類の系統の再検討も
引き出すものかもしれません。
BBC ナショナルジオグラフィック ネイチャーサイエンスアップデート
CNN サイエンスニュース
中国恐竜網(ネイチャーの図版と大きめの復元画あり)