パタゴニアの白亜紀後期はじめから発見された確実なアベリサウルス科
恐竜 3.13.02
Journal of Vertebrate Paleontology: Vol. 22, No. 1, pp. 58-69.
MATTHEW C. LAMANNA, RUBEN D. MARTINEZ and JOSHUA B. SMITH
アルゼンチン、Chubut のBajo Barreal 層下部(白亜紀後期はじめmiddle
Cenomanian-Turonian)から発見された、保存状態の良い上顎骨についての
報告です。以下アブストラクトほにゃ訳。
この上顎骨は、派生形質をCarnotaurus 、Majungatholus それにアメリカ自
然史博物館の標本AMNH 1955(これまでIndosuchus のものとされていた)と
共有している。このことからアベリサウルス科カルノタウルス亜科に属するこ
とが示唆される。
Abelisaurus は、派生形質をカルノタウルス亜科と共有しているが、一方では
これらの形質はカルカロドントサウルス科のGiganotosaurus にも見出される。
Abelisaurusはカルノタウルス亜科の共有派生形質を欠いた頭蓋骨からのみ
知られているので、カルカロドントサウルス科から派生した生き残りであるか
もしれない。
白亜紀後期初めBajo Barrealからのこの捕食者の存在は、それ以前にアべリ
サウルス科の起源があることを導き出す。この上顎骨は、南米とアフリカの地
殻上の分裂時期とほとんど同時である。したがって、この発見は、アベリサウ
ルス科はアフリカに進出しなかったという最近の仮説に対する支持を弱めるも
のである。
これまで知られていたアベリサウルス科の出現は、以前の汎ゴンドワナ大陸
の分裂を反映したものかもしれないし、それ故、白亜紀後期における古地理
学的仮説を支持するには限られた効果しかもたない。