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アロサウルスは方向転換時に頭と尾を高く上げたか 8.27.01
  米ユタ大のDavid Carrier らの研究です。彼らは恐竜の移動を研究するため
 ヒトがその動きをシミュレーションできるようにしました。"dinosaur pack"を被験
 者の学生に着させ、跳躍、ひねり、方向転換および90度6回の転換を含む走
 行の運動を記録したのです。

 "dinosaur pack"は背のバックパックにつながった、前後1.2mに伸びた角材の
 枠です。これは、頭と尾を前後水平方向に伸ばした恐竜の姿勢に基づいてい
 ます。また、Carrierが約113gの恐竜模型に基づいて計算したウェイトも足し
 てあります。これは重量が等しい従来のバックパックをしょった動きと比較され
 ました。

 その結果、"dinosaur pack"をつけた方は跳躍とひねりでは80%の低減、90度
 6回のスラロームでは33%低下したそうです。このことから、彼らは、獣脚類は
 走行中に頭部と尾を垂直方向に立てた姿勢だったかもしれないとしています。
 この研究はJournal of Experimental Biology の近刊に掲載されるそうです。

 これに対する意見として、ニューヨーク州立大のMatthew Carranoは、獣脚類
 が方向転換するのが大変だったという結論は正しいが、私の考えでは、獣脚
 類はふだん早く走らないものだ としています。また脊椎骨も水平方向に伸び
 た方が自然に関節し、尾も高く上げていたことを示す化石証拠はないとしてい
 ます。カリフォルニア大バークレー校のJohn Hutchinson も、獣脚類は高速走
 行を必要とした生物ではないといいます。
 ただし、ヒトをモデルに使う手法については興味をいだいています。
 Carrierによればダチョウよりヒトのほうが障害のあるコースを走らせるのに適し
 ているそうです。
 ABCニュース