シノルニトサウルスに見られる枝分かれした外皮構造と羽毛の起源 3.08.01
ネイチャー3月8日号掲載
Branched integumental
structures in Sinornithosaurus
and the origin of feathers
XING XU(徐星)*, ZHONG-HE ZHOU(周忠和)* & RICHARD O. PRUM†
*中国科学院古脊椎動物與古人類研究所 †カンザス大ローレンス校
99年末に記載された、中国遼寧省の羽毛恐竜、シノルニトサウルスの外皮構造
の研究です。
鳥類に見られる羽毛と同じ構造の最古のものは、始祖鳥のそれです。しかし、それ
より前の原始的な羽毛段階はこれまで恐竜では確認されていませんでした。
プロトアーケオプテリクス及びカウディプテリクスでは真の羽毛がありますが、これ
らは二次的に飛行しなくなった鳥類であるという研究もされています。
そこで、非鳥類恐竜のなかに、羽毛の起源を探すことが重要とされるのです。
この研究では、シノルニトサウルスに繊維状外皮付属物が見られ、多数の繊維か
らなる複合構造を示すことが報告されています。さらにこれらの付属物は、房状に
分岐して基部に連結した繊維(ダウン)と、中心の1本の繊維に沿って基部に連続し
て連結した繊維(フェザー)という、鳥類の羽毛に固有な2種類の分岐構造を見せて
います。
鳥類の起源が獣脚類であるという別個の系統発生上の証拠と重ねるとシノルニト
サウルスの外皮付属物が鳥類の羽毛と相同であるとする説を強く確証し、シノルニ
トサウルスに見られる祖先形の羽毛は、羽毛が進化の過程で独立して生じたとする
モデル予測も確証してくれると、結論づけています。
このモデルによれば、羽毛はまず筒状の枝分かれしていない羽胞としてあらわれ、
その構造から枝分かれして房状に枝分かれした羽毛、羽枝や小羽枝のある羽毛が
発達したとしています。
これに納得していない意見として、カンザス大ローレンス校のLarry Martin は、
「それらは確かに、濡れたダウンのようにもつれていない」と、言っているそうです。
デイリーインサイト 人民日報 新華社
参考:Dinorama ほにゃ訳(PDFファイル要アクロバット)