大型獣脚類頭部の構造と機能2.22.01
ネイチャー2月22日号掲載
Cranial design and function in a large theropod dinosaur
EMILY J. RAYFIELD, DAVID B. NORMAN, CELESTE C. HORNER, JOHN R. HORNER,
PAULA MAY SMITH, JEFFREY J. THOMASON & PAUL UPCHURCH
アロサウルスの頭部の構造と機能について、ケンブリッジ大地球科学部のチー
ムは、有限要素解析法(FEA)による3Dデジタルモデルを作り、筋肉の強さや働き、
骨の強さなどを研究ました。FEAは工業デザイナーや生体力学研究者が、さまざま
な応力や歪みを受けたときの工学設計構造や人体の骨格や軟組織の機能達成度
を見積もるために使っている方法です。
CTスキャンにより頭骨などの正確な3Dモデルを作り、噛む力を4通り算出し、T-
REXやコモドオオトカゲ、ライオンなどと比較研究した結果、アロサウルスは筋肉に
よる弱い噛む力、非常に「軽く」て「隙間のある」頭骨構造から、肉を引き裂くタイプ
の恐竜で、骨をかじることはなかったことが定量的にわかったそうです。
論文には頭骨モデルの各部に加わる圧力・張力のベクトルの入った図が示されて
います。
アロサウルスの頭骨はT-REXに比べると、非常に頑丈なのに、噛む力は弱かった
また、T-REXの円錐形の歯に比べ側面に圧縮された歯をもつことから、アロサウル
スが獲物を襲う戦法は、素早い動きで獲物に頭部で衝撃を与えた後に、肉をそぎ取
るものだったことを示唆するとしています。
ここまで来ると、アロサウルスの復元もかなり変わるのではという気がします。
BBCニュース ネイチャーサイエンスアップデート デイリーインサイト
参考:DinosaurML