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O, for the wings of a dinosaur4.11.00
  ネイチャーアップデートの記事です。獣脚類の前肢のプロポーションと進化の
 関係を調査した論文を紹介しています。
  米ブラウン大学のKevin M. Middleton and Stephen M. Gatesyは、エオラプト
 ルからティラノサウルスやディノニクス、始祖鳥から現生の鳥類までその前肢
 のプロポーションを調べました。
  彼らは獣脚類の前肢は獲物を捕食するために機能したと仮定しています。
 単につかむだけでなく、切り裂く、つかむ、木に登るまで様々に使われたので
 しょう。
  多くの獣脚類では上腕骨の比率は50%前後ですが、前肢の小さくなったティ
 ラノサウルスや、とりわけカルノタウルスでは上腕骨は70%以上の比率を占め
 ます。
  一方、鳥類においては、飛行による極度に力学的な要求はその体のプロポー
 ション、特に翼に著しい制限を課してきたと考えられます。しかし、飛行する鳥
 と飛ばなくなった鳥の間の差異は、獣脚類全体の差異よりはるかに大きくなっ
 ているそうです。
  鳥類においては飛行能力は前肢の比率に比例しているようです。ハチドリや
 アマツバメのような飛行能力の高いトリは、比較的小さい上腕骨を有する一方
 カイツブリやアホウドリのようなよりゆったりした飛び方をするトリの上腕骨は、
 それより大きい比率となる。さらに飛ばないトリの上腕骨の比率は大きくなる。
 興味深いことに、デイノニクスのような獣脚類や始祖鳥などの原始鳥類も同じ
 比率だそうです。 
  獣脚類全体のなかで、上腕骨の比率は25%から75%まで様々ですが、他の
 前肢の部分はこのように大きな比率の差異はない、彼らは比率の変化は、獣
 脚類の前肢の進化に影響されているとしています。
 参考:Zoological Journal of the Linnean Society 128, 149-187
鳥類は多様、恐竜はワンパターン4.20.00
  ネイチャーバイオニュースです。先週、O, for the wings of a dinosaurという
 題で紹介したものの日本語訳です。獣脚類と鳥類の前肢と上腕骨の比率の
 変化について。