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ネイチャーでもアーケオラプトル報道2.17.00
  今週のネイチャーでは化石標本の不法持ち出しについてニュース
 の欄で取り上げています。もちろん、アーケオラプトルの顛末もあま
 り好意的でなく書かれています。概要を。

 ナショナルジオグラフィックでは、この事件が同誌の信頼性を損なっ
 たことで編集長は激怒し、今後確実な専門誌で記載されるまでは、
 標本の学名を載せないことにしたそうです。

 この標本がはじめてアメリカに姿を現したのは1998年、ユタ州スノー
 バードで開催されたSVP総会で「私的なマーケットに興奮させられ
 るトリの標本が現れた」という噂が流れたときに始まるそうです。

 その後1999年2月のツーソンミネラルショーで、スティーブン・ツェル
 カスが8万ドルで購入したことは既報の通り。その時は、不法に持
 ち出されたものでないと説明されたようです。

 ナショナルジオグラフィック誌でアーケオラプトルのニュースを執筆し
 た Chris Sloanは、ツェルカスが彼の博物館で展示後、中国に標
 本を還すと聞き、そうするまでこの標本のことは書かないよう彼に
 言ったそうです。
 しかし、ツェルカスは有力な専門誌にこの標本の報告を載せようと
 活動したようです。彼は専門教育も学位も持っていないが、恐竜復
 元などの活動を通した人脈でフィリップ・カリー、カリーが雇ったXu
 標本をCTスキャンしたテキサス大のティモシー・ロウが共同研究者
 になったそうです。
 
 昨年8月初めまでにロウは標本に問題があることを発見しました。
 特に付け加えられた尾と復元された脚の関係の問題について。
 その問題をロウはカリーとツェルカスに説明したそうです。

 しかし、ツェルカスは報告をネイチャー、その後サイエンスに送付し、
 両誌ともそれをリジェクト(却下)したのですが、サイエンスの査読
 者は、それが不法に持ち出されたこと、また価値を増すために手を
 加えられていること、出版する前に中国に還すべきことをを示唆した
 そうです。サイエンスのリジェクトが9月初めのこと。

 ナショナルジオグラフィックに、アーケオラプトルの記事が載ることに
 なったのですが、ツェルカスは同誌にリジェクトについて伝えなかっ
 たそうで、同誌がそのことを知ったのは11月号の締め切り後だった
 そうです。

 12月にナショナルジオグラフィックは標本を中国に還すことを発表し
 ましたが、Xuによれば、ツェルカスは5年間自分の博物館で展示し
 その後、中国の別の標本と交換するつもりだったそうです。
 しかし、その後新聞報道で標本の確実性に疑問を出されたので、
 展示の望みを取り下げたようです。

 今後、Xuはワシントンに同様の標本(尾の部分でしょうか)を持って
 きてツェルカスの標本と比較する。また3月にフロリダのグレイブス
 博物館で開催される会合で、ツェルカスは標本についての発見を
 ほうこくするそうです。
 さらに6月に北京で開催される国際古鳥学会にツェルカスは持参し
 て中国に還すことになるようです。