福島県広野町で「ティラノサウルス科」の歯発見5.26.99
  今年2月に広野町の足沢層群の地層から発見された化石が約8千5百
 万年前の「ティラノサウルス科の恐竜」の下顎前部の歯であることが判明
 しました。
 発見したのは、福島県鹿島町在住のアマチュア化石研究家の平宗雄さ
 ん(42)。国内では3例目。東日本では初めて。
  報道では、「国立科学博物館の真鍋真研究官の鑑定」とされています
 が、私が真鍋研究官に確認したところ、次のようなことだそうです。
 「福島の歯は,地元のいわき自然史研究会の高橋さん,平さん〈採集者〉
 が独自に研究し,発表したもので,私は一回標本を見せてもらって,アド
 バイスしただけの立場で,急にマスコミから問い合わせが来て,びっくり
 しているところです.
 歯冠の基部の長さの比は,たしかに内外側に厚い,ティラノサウルス類
 的ですが,Fa rlow et al. (1991)のグラフにプロットしてみても,ティラノサ
 ウルス類にクラスターするほどの特徴を持っていません.鋸歯の大きさも,
 Tyrannosaurus rexほど顕著に大きくないので,ティラノサウルス科である
 とは結論できませんでした. ただ,前縁の鋸歯が基部まで発達しないこ
 とから,歯骨(下顎)の前のほうであり,切縁の稜線の発達の具合から,
 左歯骨の歯であることがわかります.歯冠の後縁が後ろに向かってカー
 ブしないこと,前縁も先端までカーブしないこと,歯冠の基部が内外側に
 厚いことは,Tarbosaurus, Albertosaurusによく似ています. 
  以上のような理由から,ティラノサウルス科に属する可能性が高い,産
 出層準が古いこと,アジアであることから,Alectrosaurusのような種と比
 較検討することをおすすめします,というのが私の意見でした.」

  歯化石発見の意義は非常に高いものですが、報道されているように、
 ティラノサウルス科と真鍋研究官が鑑定した訳ではありません。
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