サイエンス誌が選ぶ2014年科学ブレイクスルー 12.27.14 ガジェット速報 サイエンス誌の動画 クリンダドロメウスをはじめとする、恐竜と鳥の関係も入選です。 |
昆虫進化のタイムライン 11.07.14 サイエンス11月7日号ハイライト(PDF) Rutgers大ニュース ユーレカアラート 筑波大学 そのままコピーです。 昆虫の進化について確実なタイムラインが特定され、長い間不明だったこれら節足 動物の起源と互いの遺伝的関係の一部について解明が進んだ。Bernhard Misofらは 現存するあらゆる主要昆虫目‐および近親の節足動物‐から1,478のタンパク質コード 遺伝子を解析し、それらを化石記録と比較した結果、昆虫の起源は約4億7,900万年 前、オルドビス紀初期と考えられることを確認した。彼らによると、昆虫が飛翔能力を 持つようになるという革新的な進化は約4億600万年前に起こり、一方、現存する昆虫 の大半は約3億4,500万年前に現れたという。Misofらの研究結果では、たとえば、飛 翔能力は複雑な陸上生態系が確立されるまで登場しなかったことや、顕花植物の放 散はハナバチ、カリバチ、チョウといった飛翔昆虫の爆発的な多様化に付随して起こっ たことなども示された。さらに、寄生シラミは鳥類および哺乳類の宿主が現れるまで多 様化しなかったことも示され、これは、寄生シラミは羽毛恐竜を宿主として出現したとい う説と相反している。加えて、今日見られる様々なゴキブリやシロアリは唯一判明して いる昆虫の大量絶滅であるペルム紀末大量絶滅(約2億5,200万年前)のあとに進化 したと考えられることも示された。これらの研究結果は、昆虫の進化について今後研究 を積み重ねて行く上で、系統発生学上の礎と信頼できる推定年代を提供している。 Misof et al.(2014) Phylogenomics resolves the timing and pattern of insect evolution Science 7 November 2014: Vol. 346 no. 6210 pp. 763-767 DOI: 10.1126/science.1257570 アブストラクト |
バージェス頁岩生物から腕足類の共生化石 10.22.14 Wiwaxia のウロコ状の身体に付着した小さな腕足類、Nisusia 。カンブリア紀に既に 共生関係があり、多様化が進んでいたことが示されるそうです。 Timothy P. Topper, Lars E. Holmer & Jean-Bernard Caron.(2014) Brachiopods hitching a ride: an early case of commensalism in the middle Cambrian Burgess Shale Scientific Reports 4, Article number: 6704 doi:10.1038/srep06704 論文 |
筋肉組織をもつ最古の生物、記載 8.27.14 ケンブリッジ大 カナダ、ニューファンドランドの5億6千万年前(エディアカラ紀後期)の地層から、 筋肉組織をもつ最古の生物化石が産出・記載されました。Haootia quadriformis と、命名されています。種小名にあるように、カップの縁に4本の触腕があるよう な姿です。刺胞動物(クラゲ、サンゴ、イソギンチャク等)ということです。 以前言われていたような「エディアカラの楽園」は幻だったのでしょうか。 Alexander G. Liu1, Jack J. Matthews, Latha R. Menon, Duncan McIlroy and Martin D. Brasier.(2014) Haootia quadriformis n. gen., n. sp., interpreted as a muscular cnidarian impression from the Late Ediacaran period (approx. 560 Ma) Proc. R. Soc. B 22 October 2014 vol. 281 no. 1793 20141202 doi: 10.1098/rspb.2014.1202 論文 |
ワダツミホネガイ属新種記載 8.24.14 十勝毎日新聞 上越教育大の天野副学長ほかのグループが、北海道浦幌町の地層から約6千 万年前に生息した赤貝の一種「ワダツミフネガイ」類の新種の化石を発見・記載 とのこと。 |
ハルキゲニアには爪があった。有爪動物と関連 8.18.14 ケンブリッジ大学 バージェス頁岩生物群の中でもハルキゲニアほど誤解されてきた生物はいない かもしれません。頭部と尾部の位置、当初足と思われていたものは背側の棘だっ たなど、有名です。 今回の研究では、何とも頼りなさげだったハルキゲニアの足に入れ子構造になっ た爪が確認され、その構造は現生の有爪動物の爪にとても近いものということで す。系統的に有爪動物類と関連としています。 Martin R. Smith & Javier Ortega-Hernandez.(2014) Hallucigenia’s onychophoran-like claws and the case for Tactopoda Nature (2014) doi:10.1038/nature13576 アブストラクト |
新潟県糸魚川市小滝から4億年前デボン紀のサンゴ化石 8.04.14 毎日新聞 糸魚川市 新潟県糸魚川市小滝の来馬層群(約2億年前)に含まれる礫から同県最古級 のデボン紀のサンゴ化石が発見されたそうです。7種が確認され、うち1種は新 種です。 新種のサンゴ化石には、石を持ち込んだ小滝物産店の伊藤加奈子さんの名か ら、「タムノポーラ イトウアエ」(Thamnopora itoae Niko, Ibaraki and Tazawa, 2014)と名付けられました。 4億年前のサンゴ化石が2億年前の来馬層群に含まれていたことから、同層群 が形成されていた2億年前に近くに4億年前のサンゴを含む石灰岩があった事 また、今回確認されたサンゴ化石の分布を調べれば、同層群がどこで形成され たかについての手がかりとなる可能性があります。 Shuji NIKO, Yousuke IBARAKI and Jun-ichi TAZAWA.(2014) Devonian tabulate corals from pebbles in Mesozoic conglomerate, Kotaki, Niigata Prefecture, central Japan Part 1 : Favositina Science reports of Niigata University. (Geology) vol.29, pp.53-66 論文 |
深海ダコ、4年半も卵を世話 7.31.14 ユーレカアラート モントレー水族館 タコは一生で1回産卵し、孵化まで1〜3か月間、卵の世話をすることが知ら れています。しかし、これは浅い海に生息するタコの話で、深海のタコについ てはこれまで知られていませんでした。 ところが、米、カリフォルニア州のモントレー湾、水深1400mに生息する深海 ダコを観察したところ、同一個体が約160個の卵を53か月間世話しているの が確認されました。これは、これまでいかなる生物からも報告されていない長 期間になります。 Robison B, Seibel B, Drazen J (2014) Deep-Sea Octopus (Graneledone boreopacifica) Conducts the Longest- Known Egg-Brooding Period of Any Animal. PLoS ONE 9(7): e103437. doi:10.1371/journal.pone.0103437 論文 |
化石標本からアノマロカリス類の脳構造解明 7.17.14 ネイチャーニュース アリゾナ大 ユーレカアラート カンブリア紀前期の中国、澄江(チェンジャン)生物群から、アノマロカリス科の 新標本により、Lyrarapax unguispinus 新属新種が記載されています。 体長は8p位ですが、まぎれもないアノマロカリス類です。 標本から、その脳構造が解明されました。かれらはその時代の頂点捕食者でし たが、脳はこれまで考えられていたよりはるかに単純で、おそらく獲物となって いた生物のいくつかより単純だということです。現生の有爪動物類に似た構造 です。また、この標本には、眼の前にハサミ状の触手があることがわかりました。 アノマロカリスの復元画が大きく変わるかもしれませんね。 Peiyun Cong, Xiaoya Ma, Xianguang Hou, Gregory D. Edgecombe & Nicholas J. Strausfeld.(2014) Brain structure resolves the segmental affinity of anomalocaridid appendages Nature (2014) doi:10.1038/nature13486 アブストラクト |
巨大ウミサソリは優しい巨人だった 7.11.14 ナショナルジオグラフィック(日) イェール大 4億年前に生息し、体長2.4mもあった、Acutiramus cummingsi というウミサソリ。 恐ろしいハサミを持つところから、捕食者と思われていましたが、実際にハサミは柔 らかい肉を切る程度の能力しかなかったそうです。視力も弱く、植物や動物の死骸 やせいぜいウミウシ程度のものを食べていたのだろうとのこと。 Ross P. Anderson, Victoria E. McCoy, Maria E. McNamara, and Derek E. G. Briggs What big eyes you have: the ecological role of giant pterygotid eurypterids Biol. Lett.. 2014 10 20140412; doi:10.1098/rsbl.2014.0412 アブストラクト |
巨大な吸盤を持つジュラ紀の寄生虫 7.02.14 ナショナルジオグラフィック(日) パンテオンでは6月25日付で紹介したニュースについてです。 |
北海道 むかわ町穂別から 白亜紀末の新種アンモナイト 7.01.14 穂別博物館プレスリリース(PDF) 穂別博物館ブログ 苫小牧民報 むかわ町穂別の約7200万年前の地層から産出したアンモナイトが、アナゴー ドリセラス属アンモイトの新種、アナゴードリセラス・コンプレッサムとして記載 されました。日本古生物学会の英文誌Paleontological Researchの7月号に 論文が掲載されます。 |
ジュラ紀の異様な寄生虫 6.25.14 ボン大学 ボン大学(独語写真あり) ユーレカアラート 1億6500万年前、内蒙古の淡水湖水中に生息したハエ類の幼虫ですが、 吸着器があり、サンショウウオなどに寄生していたそうです。 Jun Chen, Bo Wang, Michael S Engel, Torsten Wappler, Edmund A Jarzembowski, Haichun Zhang, Xiaoli Wang, Xiaoting Zheng, Jes Rust Extreme adaptations for aquatic ectoparasitism in a Jurassic fly larva eLIFE |
化石のアバターが新たな古生物研究の助けに 5.23.14 ブリストル大 化石を元にした研究は、バーチャルのアバターを使う時代に入ったようです。 先日も始祖鳥化石を新たにスキャンするニュースがありました。母岩側にある 羽毛などもスキャンすれば判るのだそうです。 さて、ブリストル大では、化石標本の3Dアバターを作ることにより、実物ではできな い機能解析などをすることが可能になると示しています。これまでに例のない厳密 さにより、絶滅動物の機能解析ができる時代になったのですね。 John A. Cunningham, Imran A. Rahman, Stephan Lautenschlager, Emily J. Rayfield, Philip C.J. Donoghue.(2014) A virtual world of paleontology Trends in ecology & evolution Volume 29, Issue 6, p347-357, June 2014 DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.tree.2014.04.004 論文オープンです。 |
有櫛類の神経系は他の生物と別起源 5.22.14 ネイチャーニュース クシクラゲ類のゲノムを他の生物のゲノムと比較したところ、神経系が他の生物 とは別個に独立した起源をもっていたことが明らかになりました。驚きですね。 論文はオープンです。 Moloz et al.,(2014) The ctenophore genome and the evolutionary origins of neural systems Nature (2014) doi:10.1038/nature13400 論文 |
窒素固定の起源は35億年前の深海か 5.19.14 ナショナルジオグラフィック(日) 窒素固定といえば、光合成と一緒に考えてしまいますが、その起源は全く別とい う研究です。海洋研究開発機構らの研究で、中央インド洋海嶺の「かいれい熱水 フィールド」から超好熱性メタン菌と好熱性メタン菌を採取したそうです。これらを培 養して調べたところ、いずれも窒素固定機能をもち、シアノバクテリアの10倍の能力 もつことがわかりました。 また、西オーストラリアの35億年前の深海熱水域で形成された石英脈の窒素分子 の同位体を調べると、35億年前の深海域にいたメタン菌が固定した可能性が高い ことがわかったそうです。 |
世界最古の巨大精子、1700万年前の介形虫化石から 5.17.14 AFPBB Ludwig-Maximilian大 New South Wales大 La Trobe大 オーストラリア、クイーンズランド州、Riversleigh World Heritage Fossil Site から 発掘された2種の介形虫化石標本から発見されたもので、10 000 μmの長さがあり ます。最古の精子化石であるとともに、これら介形虫化石で巨大精子という特徴が 1600万年以上前からあったことがわかりました。 Renate Matzke-Karasz, John V. Neil, Robin J. Smith, Radka Symonova, Libor Morkovsky, Michael Archer, Suzanne J. Hand, Peter Cloetens and Paul Tafforeau Subcellular preservation in giant ostracod sperm from an early Miocene cave deposit in Australia Proc. R. Soc. B doi: 10.1098/rspb.2014.0394 アブストラクト |
白鳥座、約500光年の星系に地球サイズの岩石惑星 4.18.14 JPL NASA space.com ノートルダム大 サンフランシスコ州立大 Gemini Observatory サイエンス4月18日号ハイライト(日本語) Kepler-186と名付けられた太陽系の5番目の惑星、Kepler-186f は、地球よ りわずか10%未満大きい程度の惑星で、しかも液体の水が存在できる、ハビ タブルゾーンにあるそうです。水そして生命の存在の可能性はどうでしょうか? Elisa V. Quintana et al.,(2014) An Earth-Sized Planet in the Habitable Zone of a Cool Star Science 18 April 2014: Vol. 344 no. 6181 pp. 277-280 DOI: 10.1126/science.1249403 アブストラクト |
カンブリア紀のヒゲクジラ、懸濁食性のアノマロカリス 3.27.14 ブリストル大 ネイチャービデオ(動画5分40秒) グリーンランド北部のカンブリア紀前期のシリウス・パセット動物群に含まれるア ノマロカリス類 Tamisiocaris borealis に由来する標本から、前部付属肢(口の方 にあって普通には、獲物を捕らえるのに使うと考えられる)に、細長い棘が等間隔 で生えており、その棘に長くて細い補助的な棘毛が密に並んでいることがわかり ました。 このことから、その付属肢を捕虫網のように使い、カイアシ類など最小で0.5o位 までのプランクトンを食べていたと考えられています。 Jakob Vinther, Martin Stein, Nicholas R. Longrich & David A. T. Harper.(2014) A suspension-feeding anomalocarid from the Early Cambrian Nature 507, pp.496-499 (27 March 2014) doi:10.1038/nature13010 アブストラクト |
遺伝子が動物間で水平移動。マダニで証明 3.10.14 伊勢新聞 日本経済新聞 動物間で遺伝子が水平移動したことを初めて証明した研究です。アフリカに生息する Ornithodoros 属のマダニに注目、唾液腺に、吸血の際に血管を拡張して血を吸いやす くするホルモンの遺伝子は、脊椎動物しか持っていない血圧降下ホルモン「アドレノメ デュリン」と一致したということです。さらに、マダニの進化の系統を解析した結果、2億 3400万年から9400万年前の間にその遺伝子を獲得したとわかりました。この間に恐竜 や爬虫類から獲得したのだろうとのことです。 Shiroh Iwanaga, Haruhiko Isawa & Masao Yuda.,(2014) Horizontal gene transfer of a vertebrate vasodilatory hormone into ticks Nature Communications 5, Article number: 3373 doi:10.1038/ncomms4373 アブストラクト |
タコの捕食痕が残る最古のホタテガイ 2.19.14 岐阜新聞 瑞浪市化石博物館が18日発表したそうです。同市で発見されたもので1700万年前 の年代は、こうしたものでは最古ということです。 |
耐凍性を持つヒル(環形動物)の発見 1.23.14 農業生物資源研究所 東京海洋大学 液体窒素につけて24時間、-90℃で32か月、それでも死なない! クサガメやイシガメに特異的に寄生するそうですが、ヌマエラビルはすごい 耐凍性をもっていますね! Suzuki D, Miyamoto T, Kikawada T, Watanabe M, Suzuki T (2014) A Leech Capable of Surviving Exposure to Extremely Low Temperatures. PLoS ONE 9(1): e86807. doi:10.1371/journal.pone.0086807 論文 |
古代から女王はフェロモンでその役割を維持していた 1.17.14 サイエンス1月17日号ハイライト(PDF) アリやハチなどの社会性昆虫では、女王が忠実なワーカーを不妊化するフェロモン を出して、繁殖を独占しています。今回、アリ、スズメハチ、マルハナバチのワーカー の繁殖行動を一様に阻止する構造的に類似する女王特有の特殊な炭化水素を突き 止められました。これらのフェロモンは約1億5千万年も前から社会性昆虫の世界で 繁殖に関する信号を送り続けてきたそうです。 Annette Van Oystaeyen, Ricardo Caliari Oliveira, Luke Holman, Jelle S. van Zweden, Carmen Romero, Cintia A. Oi, Patrizia d'Ettorre, Mohammadreza Khalesi, Johan Billen, Felix Wackers, Jocelyn G. Millar, and Tom Wenseleers.(2014) Conserved Class of Queen Pheromones Stops Social Insect Workers from Reproducing Science 17 January 2014: 287-290 アブストラクト |
2013年の重大古生物ニュース 1.01.14 土屋健さんのブログ、化石の日々で取り上げています。恐竜に限らないので、私も初めて 気づいたものもあります。 |