中国カンブリア紀前期の澄江化石産地で見つかった原始的な新口動物
  11.22.01
  Primitive deuterostomes from the Chengjiang Lagerstatte (Lower Cambrian, China)
  D.-G. SHU(舒コ干), S. CONWAY MORRIS, J. HAN, L. CHEN, X.-L. ZHANG, Z.-F. ZHANG,
  H.-Q. LIU, Y. LI & J.-N. LIU

  ネイチャー11月22日号掲載

  研究者たちは、中国澄江から発見された化石の中からこれまでの分類に
 おさまらない原始的な新口動物を報告しています。それらを包含する新しい
 動物門、Vetulicolia(ウェツリコリア)を彼らは創設しました。化石は以下のよ
 うに分類されています。
  Phylum(門) Vetulicolia nov.
  Class(綱) Vetulicolida Chen & Zhou 1997
  Family(科) Didazoonidae Shu & Han fam. nov.
  Genus(属) Didazoon Shu & Han gen. nov.
  Didazoon haoae Shu & Han sp. nov.
 
 いくつかの特徴、とりわけ1列に並んだ鰓裂から、この分類群が新口動物の
 多様化の初期段階を探る手がかりになってくれる可能性があると思われる
 そうです。
 ヤフーニュース(読売新聞) 新華社

3億年前のゴキブリ化石 11.09.01
  何で恐竜のページなのにゴキブリの紹介を?と、私自身疑問に思いなが
 ら書いています。
 昨日紹介した米地質学会年会での発表です。
 米オハイオ大の研究者が発見したもの。オハイオ州東部の炭鉱からです。
 3億年前といえば石炭紀といわれます。体長約9cm。ゴキブリの化石としては
 過去最大だそうです。我が家で這いまわられるのは願い下げですね。
 うがった見方すれば、SVP総会の頃にはニューヨークに貼り付けだった記者が
 ようやくこのあたりまで取材できたのかな?
 ヤフーニュース(時事) CNN BBC MSNBC
 オハイオ大ニュース(大きい写真あり)
 アブストラクト(?)

最古の甲殻類化石発見7.23.01
  A Phosphatocopid Crustacean with Appendages from the Lower Cambrian
  David J. Siveter, Mark Williams, and Dieter Waloszek
  サイエンス7月20日号掲載
  イングランド西部のシュロップシャー州で5億1千100万年前の石灰岩層から
 発見された化石です。0.5mm程度の大きさしかありません。
 最古の甲殻類化石です。酢酸で処理して立体的な標本が取り出されました。
 体全体付属肢も軟らかい組織も、立体的に保存されています。
 前期カンブリア紀にあたり、この年代にこれだけ発達した甲殻類がいることは
  ”カンブリア爆発"より前、5億4千500万年以前の前カンブリア紀に動物の体
 制の爆発が起こったことを示唆するとしています。
 ヤフーニュース(ロイター) BBCニュース MSNBCニュース

中国貴州省から元生代の原腸胚化石発見7.04.01
  科学通報2001年6月第12号掲載
  硫酸塩化原腸胚化石在甕安徒山沱組燐塊岩的発現
  尹崇玉 岳昭高林志(中国地質科学院地質研究所)
  研究者達は燐塊岩(燐酸塩岩のことでしょうか?)を酢酸で溶かしていった
 ところ、とけ残った残りに燐酸塩化した化石を発見したそうです。
 それは、原腸胚期(発生の途中で原内胚葉が胞胚の内部に入り、原腸が
 形成される時期)の胚化石だったことが判明したそうです。
 化石の直径は500μm(0.5mm)前後。これまで卵が分裂した時期の化石報
 告はありましたが、原腸胚期化石の報告は初めてです。
 年代はSinianとあるので、元生代末(約5億6千万年より以前)です。
  表紙写真(とてもはっきりわかります)

Bugs do science's dirty work
  Beetles clean skeletons for museum's collection 6.13.01
  サンフランシスコクロニクル紙。日本でも骨格標本を作るために、カツオ
 ブシムシだったか甲虫に骨以外の部分を食べさせます。このアイデアは
 カリフォルニア大バークレー校の生物学者で現在90歳代のWard Russell
 が1920年代に野外で気づいたことだそうです。

オーストラリアとアメリカにおける大型動物絶滅はヒトが原因6.07.01
  サイエンス6月8日号掲載
  New Ages for the Last Australian Megafauna: Continent-Wide
   Extinction About 46,000 Years Ago

  Richard G. Robertsほか
  オーストラリアでは体重100kg以上の陸生哺乳類、爬虫類、鳥類及び体
 重45kgから100kgの7属中6属が死滅しているそうです。この研究では28サ
 イトの動物相の死滅年代を光学的及びウラニウム-トリウム年代測定法に
 よって明らかにしました。年代は46,000年前を中心としたものになりまし
 た。この結果からは最終氷河期がもたらした乾燥化による絶滅よりも、
 ヒトが関わって電撃戦のように絶滅させたあるいは環境を変化させたこと
 を示すものだそうです。

  A Multispecies Overkill Simulation of the End-Pleistocene Megafaunal Mass Extinction
   John Alroy

 北アメリカの41種中32種の大型動物の絶滅とヒトの増加及び狩猟の関係を
 コンピュータシミュレーションにより割り出したもの。それによると、13,000前
 にヒトが北アメリカに渡ってから800から1,600年後に絶滅が起こったとして
 います。
 BBCニュース MSNBCニュース ABCニュース ディスカバリーオンライン

澄江動物群から見つかった、カンブリア紀初期の尾索類 5.24.01
   An Early Cambrian tunicate from China
   D.-G. SHU, L. CHEN, J. HAN & X.-L. ZHANG
   (長安、西北大学早期生命研究所 舒コ干、陳苓、韓健、張興亮)
  ネイチャー5月24日号掲載
  Cheungkongella ancestralis gen. et. sp. nov.
  15mmほどの大きさの尾索類の化石です。尾索類は脊索動物の中でも
 もっとも原始的なもので、脊索動物や脊椎動物にいたる進化の道筋を研
 究するために、重要な化石です。これまでカンブリア紀初期の地層からは
 明確に尾索類と見なせるものはごく少数で、またまたあっても尾索類かど
 うか意見が分かれているそうです。今回の発見は尾索類の可能性が高い
 もので、ホヤ類の現存するシロボヤ属に似ているそうです。この化石の形
 態は、脊椎動物の起源を理解するのに有用であるとしています。
 中国名は"始祖長江海鞘"というそうです。
 新華社

海洋性古生物の生物多様性に関するデータベース5.18.01
  PNAS5月15日号に掲載。
  シンシナティ大ニュース ニューヨークタイムス(無料の登録必要)5.22追加
  The Pleobiology Database

中国貴州省に新たな古生物化石群4.30.01
  貴州省西南部にある関嶺布依族苗族自治県新舗郷の化石産地を、
 中国地質調査局古生物中心、貴州地勘局などの機関が合同で調査
 したところ、2.3から2.4億年前、三畳紀前期の海生生物化石産地であ
 ることが明らかになりました。
 当時、そのあたりは深さ200から500mの海だったそうです。爬虫類では
 魚竜、幻竜、海竜とあるのですが、後二者はよくわかりません。
 ほかに魚類、ウミユリ、オウムガイ?、腕足類と古植物があります。
 化石の保存がよく大量に産出し、当時の海生生態系を研究する上で貴
 重なため、今後天然博物館または地質公園にする構想もあるようです。
 新華社

最古のダニ化石発見4.10.01
  Annals of the Entomological Society of America でオハイオ州立大の
  Hans Klompen らの報告です。
 Carios jerseyi と命名されたダニは、ニュージャージー州の空き地の9,000万年
 前の重さ80ポンドの琥珀の中から発見されました。体長520マイクロメートルです。
 これまでダニの化石はバルト海地方の琥珀から4,200万年前のものが最古なの
 で、一気に5,000万年生存記録を遡りました。
 背には3ダースの毛が2列に並んでいるそうです。センサーの役割をしていたのか
 もしれません。
 この化石のすぐそばには羽化石があり、研究者は海鳥に運ばれて、ダニが最初
 に進化したとされる南米から運ばれたのではないかと推測しています。
 ABCニュース デイリーインサイト(read paperで論文を見ることができますPDF)
 オハイオ州立大ニュース BBCニュース

英シルル紀層で産出した保存状態のきわめてよい蠕虫型軟体動物3.24.01
  ネイチャー3月22日号掲載
  An exceptionally preserved vermiform mollusc from the Silurian of England
  英、フェレフォードシャーの発掘現場の化石は、節足動物や多毛類です。火山
 灰に埋没した後、凝固物と一緒に固化し、スパー状方解石で充填されたため、
 化石化されないクチクラ層でも保存されたそうです。
 ただ、中空状態で保存されたため、見るためにはデジタル技術で復元するしか
 なかったそうです。研究者たちは数十マイクロメーター間隔で切断した一連の研
 磨資料とコンピュータを使った復元法を併用して、化石のデジタル立体像を製作
 しました。
 UniSci
 Acaenoplax hayae videos クイックタイムで立体ビデオ像を見ることができます。

中国で古生代と中生代を境界づける示準化石確定3.16.01
  「牙形石化石」というものです。阿根廷(アルゼンチン)で開催されている国際地
 質科学連合会で13日発表されたようです。
 1986年に中国地質大学殷鴻福院士が提出したもので、浙江省煤山産の化石で
 す。これを示準化石とすることに海外から強烈な反対もあり、菊石を示準化石とす
 ると反対者はしていたそうです。
 しかし、殷鴻福は煤山産化石の系統的研究を続け、牙形石化石が腹足類の化石
 で、古生代末の大海退の際、大量に死滅して残されたものであることを明らかにし
 たそうです。
  人民日報

中国内蒙古自治区で200-500万年前の化石発見3.14.01
  フフホトから南南西200kmほどの准格爾旗(ジュンガルチー)巴潤哈岱郷という
 所で哺乳類と爬虫類の化石が大量に発見されたそうです。200-500万年前の
 ものとされています。サイやカメの化石もあるそうです。
 新華社

中国の洞穴から20万年前の動物とヒトの歯発見3.13.01
  シンシナティ大ニュースです。

河南省鄭州で出土した化石3.06.01
  直径30cm長さ80cm、重さ17.5kgの大腿骨?です。古代ゾウか恐竜か?という
 程度でしか紹介していませんが、写真付きなので。
 人民日報 
 参考:雲南省大理白族自治州では200万年前の剣歯ゾウ、ステゴドン化石出土
    地元の農民が石炭掘りで地下70mから発見。
    人民日報

北朝鮮で6億2千万年前の化石大量に発見3.05.01
  北朝鮮「労働新聞」の報道として、金日成総合合大学地質系研究員が平壤市中
 和郡、祥原郡と黄海北道燕灘郡等の地で1,000以上の6億2千万年前の化石を発
 見したそうです。原始海蟄と海草化石だそうです。海蟄の意味はわかりませんが、
 直径0.6から2mm、海草は幅0.1から0.3mm長さ1から15mm。朝鮮は地質的発展も
 世界で一番早い国家であると結んでいるのが・・・
 新華社(中国語) 人民日報(中国語)

火星由来の隕石から鎖状に形成された磁鉄鉱結晶発見3.01.01
  PNAS2月27日号掲載。
   E. Imre Friedmann, Jacek Wierzchos, Carmen Ascaso, and Michael Winklhofer
   Special Feature: Chains of magnetite crystals in the meteorite ALH84001:
    Evidence of biological origin PNAS 2001 98: 2176-2181
PDFダウンロードできます。
  南極で発見された、『アレン・ヒルズ84001』(ALH84001)と名付けられた、火
 星起源の隕石から、鎖状に形成された磁鉄鉱結晶が発見され、それは約39億
 年前に火星の岩に入り込んだ微生物により作られたものという研究結果です。
 概要は、大分前にお知らせしました。
 一方、批判としては、彼らは隕石の中にある鎖状以外の磁鉄鉱結晶について
 何ら調査報告していないというものがあります。
 ヤフーニュース(日本語) ABC BBC サイエンスデイリー
 NASA Amesニュースの磁鉄鉱結晶イメージ(プレスサイズあり)
 関連:地球上の生命は隕石によって運ばれたという研究。PNAS2月27日号掲載
 カリフォルニア大センディエゴ校ニュース サイエンスデイリー

100℃の環境で生きるチューブウォーム2.21.01
  AAAS(American Association for the Advancement of Science )年次総会
 デラウェア大のCraig Cary の発表です。
 Pompeii worm と呼ばれるチューブウォームは、太平洋底のチムニーに群集して
 いますが、他の種類のチューブウォームと異なり、噴出口のすぐへりにいるので
 100℃の熱水に耐えているのだそうです。また共生するバクテリアも他の種とは
 異なり、高温に耐えるもの。高温でのプロセスに、工業化学者たちの注目が集
 まっているそうです。
 ディスカバリーオンライン

Flying Like a Fossil Flapper 1.29.01
  デイリーインサイトです。トリの翼のように羽ばたいて飛ぶ飛行機。その開発に
 翼竜をヒントにするそうです。
 カナダ、トロント大のプロジェクト。これまで離陸に必要な時速80kmは達成してい
 ましたが、離陸にいたっていないとのこと。そこで、翼竜の化石2体を研究してい
 るエンジニア、Jim Cunningham の助けを借りることにしたそうです。彼によれば
 翼竜の方が羽毛の生えた翼より真似しやすいし、翼竜は助走や激しい羽ばたき
 なしに飛び上がったというのです。
 プロジェクトチームの羽ばたき飛行機"Nightingale"は、大空を舞うでしょうか。
 参考:Project Ornithopter