火星から飛来した隕石に新たな生物の証拠? 12.19.00
  NASAが13日に発表したところでは、南極で1984年に発見された火星由来の隕石
 ALH84001から、微生物によって作られたとみられる磁鉄鉱(Fe3O4)の結晶を発見し
 たそうです。
 この隕石は45億年前にできた隕石で、1,600万年前に大きな衝撃により、火星から
 宇宙に飛び出し、1万3千年前に南極に落下したのだそうです。
 その中には10から200ナノメートルの小ささの結晶が多数あり、研究者たちはそのう
 ち600あまりを調査したところ、その1/4は、地球の微生物により作られるものと同じ
 だったそうです。このことから、少なくとも36億年以前に火星に生命が誕生していた
 可能性を研究者たちは報告しています。
 NASA AMESニュース サイエンスデイリー
 別の隕石について

わさびに虫歯予防効果 12.18.00
  チューブ入りのわさびを洗面所に置こう!
  サイエンスデイリー  ユーレカアラート アブストラクト
  サイエンティフィックアメリカン

ミトコンドリアゲノムの変動性と現生人類の起源  12.14.00
  ネイチャー12月7日号掲載
  Mitochondrial genome variation and the origin of modern humans
  MAX INGMAN*, HENRIK KAESSMANN†, SVANTE PAABO† & ULF GYLLENSTEN
  先週紹介しなければならなかったもの。が、2件の恐竜情報のはざまで、紹
 介が送れてしまいました。
 ミトコンドリアイブといえば、結構誰もが知っている言葉でしょう。この元になった
 のは、キャン(Cann, R. L.)らによるミトコンドリアDNAの分析による研究でした。
 今回の研究もミトコンドリアDNAによる分析です。世界のさまざまな民族から53
 人を選び、その全ミトコンドリアDNAを分析したところ、サンプルグループにおけ
 る直近の共通祖先が今から171,500±50,000年前のアフリカにいたことを発見
 したそうです。また、アフリカ人と非アフリカ人にわかれたのは52,000±27,500
 年前とのこと。この頃、現生人類の出アフリカが起こったのでしょう。
 以前の研究がミトコンドリアDNAの7%しか分析していないのに対し、今度は全部
 分析した点が特筆されるのでしょう。
 ネイチャーバイオニュース12月13日号

火星の岩石は化石を含んでいるかも12.5.00
  火星がかつて水に覆われていた頃の堆積層からは、地球で見つかるよ
 うに化石が発見されるかもしれないという記事。地球の湖で堆積するような
 100から200mの堆積層がNASAの無人火星探査機「マーズ・グローバル・
 サーベイヤー」の観測で判明しました。
 BBCニュース ABCニュース 毎日フォトジャーナル
 ユーレカアラート(日本語解説をPDFファイルでダウンロードできます)
 サイエンティフィックアメリカン NASAプレスリリース

26億年前の陸上生態系を示す地球化学的証拠11.30.00
  ネイチャー11月30日号掲載
 Geochemical evidence for terrestrial ecosystems 2.6 billion years ago
 YUMIKO WATANABE, JACQUES E. J. MARTINI & HIROSHI OHMOTO
 生物がいつから陸上に進出したかは、今まで不明でした。これまで最古の陸上
 生物の痕跡として確実なものは、米国アリゾナ州で見つかった12億年前の微化
 石だそうです。今回研究者たちは、南アフリカのムプマランガ州で発見されてい
 る炭素質に富んだ古土壌とその母岩の産出状況や同位体比率等を分析したと
 ころ、26億から27億年前の微生物マットである可能性が非常に高いそうです。
 陸上生態系の痕跡が今までより14億年遡ることになるそうです。
 ネイチャー ABCニュース MSNBCニュース ペンシルヴァニア州立大ニュース


チンパンジー アイの息子に新生児微笑10.31.00
  30日の松沢哲郎教授の会見では、ヒトと同様にチンパンジーにも新生児微笑
 が見られることがわかったそうです。
 ヤフーニュース
 参考:アイのホームページ

究極の冬眠  2億5,000万年前の細菌をよみがえらせた研究者 10.26.00
 ネイチャージャパンのバイオニュースです。
 先週お伝えした塩の結晶の中からよみがえった細菌について日本語です。

種の進化はこれまで考えられたよりはるかに早い10.20.00
  サイエンス10月20日号
  Rapid Evolution of Reproductive Isolation in the Wild: Evidence from
   Introduced Salmon
  Andrew P. Hendry, John K. Wenburg, Paul Bentzen, Eric C. Volk, and
  Thomas P. Quinn
  米ワシントン州ワシントン湖でサケがわずか60-70年、13世代で2つの集団に
 分かれたそうです。湖で産卵するものと川で産卵するもので、産卵する巣の掘り
 方や体型、大きさも異なったそうです。
 これまで考えられていたのより10倍も早い速度ということです。
 同じサイエンスには、昆虫でも同様の例が報告されています。
 恐竜もその初期にはこんな風に進化したのでしょうか?
 BBCニュース  ユーレカアラート ディスカバリーオンライン MSNBCニュース

2億5千万年前のバクテリアを復活培養10.19.00
  ネイチャー10月19日号
  Isolation of a 250 million-year-old halotolerant bacterium from
  a primary salt crystal
  RUSSELL H. VREELAND, WILLIAM D. ROSENZWEIG
  & DENNIS W. POWERS
  研究者たちは、二畳紀サラド層で産した2億5000万年前の食塩結晶内の
 塩水封入物から、未知の胞子形成細菌(Bacillus属、仮称2-9-3)を単離し、
 増殖させたものです。
 この結晶はいったん結晶となって以来、再結晶化されなかったことが確認さ
 れているとともに、表面は強い酸及びアルカリにより滅菌処理され、混入の
 可能性をほぼなくしています。
 ヤフーニュース  ヤフーニュース(写真) CNN ABC BBC MSNBC
 ネイチャーサイエンスアップデート

新しい綱をなす微生物発見10.17.00
  グリーンランド北西の島でデンマークの研究者が発見した水中微生物ですが、
 今までの生物の分類にあてはまらないそうです。Micrognathozoaという新しい
 綱がたてられ、 Limnognathia maerski と命名されました。
 MSNBCニュース
 Journal of Morphology
 Polarfronten デンマーク語です

仙台市の名取川で1600万年前のオウムガイ化石発見10.12.00
  小学5年生の曵地和博君が夏休みの化石採集で。仙台市科学館で開催中の
 児童生徒理科作品展に化石標本が出品され、殻の形や内側の模様からオウム
 ガイ類のアツリアと鑑定で明らかになりました。分布の北限を大きく塗り替える
 ものです。
 ヤフーニュース

カナダ・マニトバ州で世界最大の三葉虫発見10.10.00
  マニトバ人と自然博物館のニュースによれば、同博物館のチームはマニトバ州
 北部で世界最大の三葉虫化石を発見しました。何しろ長さ72cmというのですから。
 4億4千5百万年前にこんなのが海底を這っていたとは驚きですね。
 BBCニュース
 マニトバ人と自然博物館ニュース

菌類の上陸は植物と同時期9.15.00
  これまで考えられていたより5,500〜6,000万年早く、約4億6,000万〜4億
 5,500万年前、植物が上陸したのと同時期に、菌類も上陸していたことが、
 堆積物中の微化石からわかりました。
 カリフォルニア大バークレー校のDirk Redeckerほかの研究です。
 ユーレカアラート
 カリフォルニア大バークレー校ニュース
 CNNニュース
 サイエンス


 Biting beetle gives away secrets7.17.00
  BBCニュース。甲虫の中には食料の葉を巻く種類があるそうです。米ノース
 ダコタとワイオミングで発見された11個の巻かれた葉の化石から、甲虫自身の
 化石はないものの、これまでより2,000万年以上遡り、6,600万年前に、この種
 の甲虫が存在したとしています。

ヒトゲノム解読発表6.27.00
  守備範囲外ですが、一応ニュースを
 ヤフーニュース
 毎日フォトジャーナル
 サイエンスディリー

太平洋南西の海山で多数の固有種発見6.27.00
  ネイチャー6月22日号掲載。BERTRAND RICHER DE FORGES, J. ANTHONY
  KOSLOW & G. C. B. POORE
 この発見以前に世界の海山から発見された無脊椎動物の総数は597種だそう
 ですが、今回、タスマン海およびサンゴ海南東海域にある海山から、大型動物
 相の種が850以上発見されました。そのうち29〜34%は科学研究的に新規のも
 のであり、海山固有種である可能性があるとのこと。
 これまで恐竜の時代に絶滅したと考えられていたものもあるようです。また、海山
 ごとに固有の種が分化しており、これらの動物相の保全が検討されなければなら
 ないそうです。
 CNNニュース
 ネイチャー

大分県安心院(あじむ)盆地でカメなどの動物群化石発見6.10.00改
  安心院町教委と滋賀県立琵琶湖博物館の発表です。
  300〜400万年前の第三期後半の津房川(つぶさがわ)層と呼ばれる地層で、
 県内の中学教諭(北林栄一さん)が1995年にゾウの化石を発見して以来、発
 掘調査が続けられました。

 この中にシンシュウゾウの骨が含まれていたため、発見の連絡を受けたゾウの
 化石に詳しい琵琶湖博物館の高橋啓一専門学芸員が中心となって安心院町
 教育委員会と共同で発掘、鑑定を進めてきたもの。  

 そのゾウ(シンシュウゾウ)のほか、 地層から脊椎動物、植物、昆虫、淡水貝
 類など70種、約1,000点。カメ類は257点あり、オオアタマガメ、カントンクサガ
 メ(両者とも世界初)、ハナガメ(日本初)ニホンスッポン、など初発見となったも
 のもあるそうです。
 ワニ類では日本で初めてのヨウスコウワニの歯やほお骨を、両生類ではアジア
 最古の記録となるオオサンショウウオの背骨を確認。

 哺乳類では日本で最も明確にサンバージカと特定できる両角が残る頭骨が見
 つかった。また、ゾウ化石は年代を特定する上で指標となるそうで、シンシュウ
 ゾウの一個体の背骨や肋骨、四肢骨など約100点を確認。これまで宮城から長
 崎県まで15例以上ある報告の中で最も良い標本だそうです。

 当時の生態系を知る上でとても貴重な資料となり、当時ののアジアにいた動
 物は、現在とほぼ同じ形になっていたことが、今回の発掘からわかったそう
 です。
 ヤフーニュース(時事)
 ヤフーニュース(朝日放送)
 ヤフーニュース(西日本新聞)
 ヤフーニュース(中日新聞)
 オオアタマガメ写真(共同)
 参考:滋賀県立琵琶湖博物館

オーストラリアから32億2千5百万年前の生命の証拠6.8.00
  ネイチャー6月8日号掲載。
 オーストラリアのビルバ・クレイトンから産出した深海火山性の
 塊状硫化物鉱床に、糸状の微生物の化石と思われる硫化鉱
 繊維が発見されたそうです。
 ネイチャー
 ディスカバリーオンライン
 サンフランシスコクロニクル紙のイラスト

三葉虫は硫化物を無毒化する細菌と共生6.7.00
  Proceedings of the National Academy of Sciences. 6月6日号
  Richard Fortey(英自然史博物館)
  現在も海底のチムニーである種の生物がするように、約5億年前、
 カンブリア紀後期からオルドビス紀前期、スカンジナビアに生息して
 いたOlenid科の三葉虫も硫化物を無毒化し、エネルギーとして利用
 できるイオンの形にするバクテリアと共生していたとする論文がでて
 います。
 これは、この種のバクテリアと共生している例しては最古のものです。
 その体の割に小さすぎる口、薄い表皮、バクテリアを共生させるのに
 適した多数の体節からそう結論したそうです。
 ディスカバリーオンライン
 PNAS

中国内蒙古自治区で化石発見5.30.00
  中国科学院の古生物学者が発見したそうです。
  発見地は同自治区でも東部と思われるNingcheng CountyとLingyuan Co
 unty。後者は遼寧省の東北方とされています。
 白亜紀前期の脊椎動物の化石が多く発見されたようです。7つのカテゴリー
 に分けられるそうで、その中には非常に多くの有尾両生類が含まれ、この
 ことはこの地方の豊富な生物グループであることを示すとされています。
 また、同時期のロシアやモンゴルの化石を比較する上でも重要な糸口にな
 るとされています。(新華社)
 myCNN(無料の登録必要)

昆虫はどうして余分な肢を失ったか4.26.00
  2組の遺伝子の働きにより、昆虫はもっと多くの肢を持った節足動物から進
 化して6本の肢の昆虫になったそうです。
 CNNニュース
 ABCニュース
 Proceedings of the National Academy of Sciences(HTML、PDFで全文可)

ネイチャーバイオニュース3.16.00
  3月16日号では進化関係が3つ掲載されています。
 「頭を探しに海山越えて」では、脊椎動物の頭の起源を無脊椎動物に求める
 研究が紹介されています。頭の元になる神経冠をつくる遺伝子と同様のもの
 がナメクジウオにもあるが、まだそれを使うまでには至っていないのだそうで
 す。
 「鳥は脚で飛ぶ」は、3月13日付けで紹介した「トリの離陸はジャンプから」と
 同内容。もちろんこの方がちゃんとした記事です。
 「柔らかいのに、強くて、そしてとっても幅が広い」では、サメやエイの軟骨が
 必ずしも原始的であるとは限らないことを示しています。
 数種類のエイの軟骨でできた顎が、二枚貝の硬い殻を噛み砕くほど強力な
 くるみ割り器に進化したことを実証しています。

中国貴州省で最古のカンブリア紀化石発見1.31.00
  貴州省遵義(ツンイー)市の村、Zhongnanで発掘をしていた、中独
 合同調査チームは、カンブリア紀で世界最古の化石を発見したと、
 発表しました。この化石からは「カンブリア爆発」が、これまで考えら
 れてきたような爆発的・劇的なものではなかったことを明らかにされ
 ると、貴州工業大学のZhao Yuanlong教授は述べています。

 化石の年代は、5億3千5百万年前とされていますが、海綿、大きな
 二枚貝、節足動物、藻類、棘皮動物、半索動物を含むは8つの領域
 の生物からなるそうです。

 合同調査チームの長を務めたZhaoによれば、プレカンブリアンとカン
 ブリア紀の間で海綿に急激な進化は見られないと言っています。故
 にカンブリア爆発理論は再考されなければならないと付言していま
 す。また、ベルリン工業大学の M. Stainer博士は、初期の生命の起
 源と進化を研究する上で非常に重要であると述べています。

 この化石は雲南省昆明で'80年代に発見された澄江(チェンジャン)生
 物群より1-2百万年古く、1975年にポーランドで当時カンブリア紀最
 古と考えられた化石より50万-百万年古いそうです。 
 myCNN(新華社)

チンパンジー”アイ”のマジックナンバーは”5”1.6.00
  ネイチャー1月6日号のBrief communication欄で京都大学の川合伸
 幸と松沢哲郎の報告です。先日も書道を披露したアイは、小学校入学
 前の子供と同程度の数学的能力があり、ランダムな数字を5つまで覚
 えることができるそうです。人間は7つまでです。ヒト以外の霊長類が
 数を処理できる新たな証拠となります。
 CNNニュース
 ABCニュース
 BBCニュース
 ディスカバリーオンライン
 ネイチャー
 ネイチャー門(日本語サマリーあり)