マレーシア、パハン州から、同国2件目となる白亜紀恐竜化石 11.16.14
  エマージング・マーケット マラヤ大学ニュース(写真あり)
  マラヤ大学と早稲田大学の合同研究チームは、パハン州の産地から昨年12月に
 発掘した化石の中から、同国では、スピノサウルス科恐竜歯化石に続き2件目の恐
 竜化石、植物食の鳥盤類恐竜化石として初めての歯化石を確認したと発表しました。
 歯化石は長さ13o、幅10.5mmのものです。

ベネズエラから初の恐竜記載、鳥盤類の初期進化のギャップを埋める 8.07.14
  英自然史博物館 バーミンガム大(復元画・立体の大きい画像リンクあり)
  ベネズエラから、少なくとも4個体以上(実際にはもっと沢山のようです)で発見さ
 れた鳥盤類恐竜が記載されています。
 Laquintasaura venezuelae 鳥盤類の新分類群。新属新種
 属名:標本の産出層準La Quinta層+'saura'ギリシャ語のトカゲ女性形
 種小名:ベネズエラ(国・国民)
 産地と層準:ベネズエラ北東部、タチラ州、Grita と Seboruco 間の切通しのボーン
         ベッド。
       下部ジュラ系La Quinta層(ヘッタンギアン 約2億年前 ジュラ紀最初期)

 歯に、他の鳥盤類と異なる特徴があるとしています。頬歯の歯冠は二等辺三角
 形状の歯で、根本から長く伸びています。先端は細くなりますが、歯の中間より
 やや基部で幅が最大になります。歯の縁いっぱいに小歯が認められます。また
 頬側舌側両側に条線が認められます。他の特徴はおそらく将来、別論文で記載
 されるのでしょう。
 最大の大腿骨長が90oであることから、推定体長約1mとしています。海外の報
 道では、シチメンチョウ程度としています。
 
 発見されたボーンベッドは、初期鳥盤類の複数個体が含まれる、初めてのもの
 ということです。個体は年齢の異なるものが含まれています。骨断面の研究か
 ら、ある個体は9歳と判明し、完全な成体は10〜12歳と考えられるそうです。
 
 系統的には、ヘテロドントサウルス科、新鳥盤類、装盾類やLesothosaurus など
 初期の鳥盤類と多系統になり、未解決となっています。

 三畳紀末の大量絶滅後の鳥盤類の初期進化については、あまり情報がなかっ
 たのですが、この恐竜の研究により、進展が見込めるそうです。また、鳥盤類
 恐竜がその進化の初期から群れ行動をしていたこと、この時期にその時代の
 赤道地帯に進出していたことや、成長速度等得られる知見は多いそうです。
 

 Paul M. Barrett, Richard J. Butler, Roland Mundil, Torsten M. Scheyer,
 Randall B. Irmis and Marcelo R. S
anchez-Villagra (2014)
 A palaeoequatorial ornithischian and new constraints on early dinosaur
 diversification.

 Proceedings of the Royal Society B vol. 281 no. 1791 20141147
 doi: 10.1098/rspb.2014.1147 論文(フリー)

シベリアから産出したジュラ紀の鳥盤類には羽毛と鱗の両方があった
  7.25.14
  NHK ナショナルジオグラフィック(日)
  サイエンス7月25日号ハイライト日本語(PDF) サイエンスニュース
  ロシア、シベリア、トランスバイカル産の新鳥盤類Kulindadromeus zabaikalicus
  については、ロシアの専門誌に掲載された事を既にお知らせしました。
   今日のサイエンスでは、Supplementary Materials にSystematic paleontology
 などを載せ、記載のかたちをとっています。
 この恐竜で注目すべき点は、やはり鳥類につながる獣脚類以外の恐竜の系統
 から、羽毛が認められることですね。また、この恐竜には羽毛と鱗の両方がある
 ことが、他と異なった点です。例えば脚の遠位部は鱗ですが、大腿から脛にか
 けては、羽毛に覆われています。
 論文では、恐らく全ての恐竜に羽毛があった。羽の出現の最初の目的は飛行で
 はなく、断熱や交尾相手を引き付ける信号であり、飛行に使用されるようになっ
 たのは後のことだという以前の考えを支持するものであったとしています。
 Pascal Godefroit, Sofia M. Sinitsa, Danielle Dhouailly, Yuri L. Bolotsky,
 Alexander V. Sizov, Maria E. McNamara, Michael J. Benton
  & Paul Spagna (2014)
 A Jurassic ornithischian dinosaur from Siberia with both feathers and scales.
 Science 345( 6195): 451-455 DOI: 10.1126/science.1253351アブストラクト

ロシア・トランスバイカル産の新鳥盤類化石に羽毛 11.05.13
  基盤的鳥盤類に羽毛!
  DinosaurMLによると、残念ながらSVP総会では講演キャンセルになったそうで、アブス
 トラクト以上の詳細はまだわかりません。

鳥盤類恐竜の肋間プレートの骨形成、相同性及び機能 10.04.11
  Hypsilophodon, Talenkauen, 及び Thescelosaurus の肋間プレートの組織学的研究
 により、標題のテーマを論じています。骨形成については、哺乳類の長骨端に典型的な
 軟骨内の二次形成に類似するとし、対照的に鳥類の鉤状突起は一次形成であり、両者
 は進化的に相同でないとしています。機能については骨状の鎧としてでなく、呼吸の補助
 などのいくつかの機能があったとしています。
 Clint A. Boyd, Timothy P. Cleland and Fernando Novas
 Osteogenesis, homology, and function of the intercostal plates in ornithischian
 dinosaurs (Tetrapoda, Sauropsida)
 Zoomorphology DOI: 10.1007/s00435-011-0136-x アブストラクト

南極で鳥盤類恐竜発掘 2.20.11
  ディスカバリー Augustana大ニュース
   William Hammer らのチームは、中央トランス南極山脈の発掘地で、原
 始的な鳥盤類化石を発掘しました。ファブロサウルスやヘテロドントサウル
 スの類縁と考えられるそうです。

レソトサウルスとストルムベルギアは成長段階の違い 1.06.10
  ディスカバリー
  原始的な鳥盤類、「ファブロサウルス科」のレソトサウルスと、その2倍ほどの体長
 である、Stormbergia dangershoeki が、約4年で成体になる同一分類群の成長
 段階の違いであったとする論文が出ています。

 南アフリカのエリオット層から産出する、非ヘテロドントサウルス科恐竜のうち、
 Stormbergia dangershoekiLesothosaurus diagnosticus と区別される基準は、
 その大きさのほかに、座骨の2つの形質があります。閉鎖突起の存在と、伸張し
 た遠位癒合の欠失です。これらについて有効な形質なのかどうか、まず議論し
 ています。閉鎖突起については、Stormbergiaの記載者Butlerは、Lesothosaurus
 には無いとしているが、保存上の問題で、存在した痕跡はあるとしています。結論
 として、閉鎖突起の有無について研究者間で見解は分かれているとしています。

 次にStormbergiaでは座骨の癒合が遠位のみにあるとButlerは区別しています。
 これについて、筆者は座骨軸がねじれていない場合、癒合は遠位のみにあるとい
 うことと、断じています。そして、癒合が遠位になるのは派生した鳥盤類では見られ
 るが、長い内側癒合は基盤的な恐竜や関連する外群にみられ、派生していない初
 期の鳥盤類に見られることは驚くべきことではないとしています。Lesothosaurus
 これが見られるのは、幼体に原始的な形質が保持されていると見ています。

 さらに、両者の骨断面を観察し、その成長度を比べています。筆者らが2001年に記
 載した小型のLesothosaurus は1歳と見られるのに対し、Stormbergiaの標本
 NM QR 3076は3歳、そしてLesothosaurus は4年で成体に達するという結果が出ま
 した。成体はTroodon 程度の体長だったとしています。
 
 Fabien Knoll, Kevin Padian, Armand de Ricqles 2009.
 Ontogenetic change and adult body size of the early ornithischian dinosaur
 Lesothosaurus diagnosticus: Implications for basal ornithischian taxonomy
 Gondwana Research Vol. 17, Issue 1pp.171-179 doi:10.1016/j.gr.2009.03.010
 論文ダウンロードできます。

 北米最小の恐竜 10.21.09
  47ニュース ロスアンゼルス郡立自然史博物館ニュース
  Fruitadens haagarorum 体重1kg以下、体長70cmという小型恐竜が記載されま
 した。
 1970年代後半にコロラドで発見された化石です。後期ジュラ紀、約1億5千万年前
 に生息していました。ヘテロドントサウルス科ということです。
 Richard J. Butler, Peter M. Galton, Laura B. Porro, Luis M. Chiappe, Donald
 M. Henderson, and Gregory M. Erickson
 Lower limits of ornithischian dinosaur body size inferred from a new Upper
 Jurassic heterodontosaurid from North America
 Proc. R. Soc. B published online before print October 21, 2009,
 doi:10.1098/rspb.2009.1494 アブストラクト論文ダウンロードできます。